アコギが弾きずらい理由の上位を占めるのは、やはり「アコギの弦高が高くてコードが押さえずらい」だと思います。
アコギのメンテナンスとして、弦高の調整はネックのトラスロッドの調整だけかと思われがちですが、実はいくつかの要素でバランスをとることが必要です。
今回は、アコースティックギターの弦高を調整する上で知っておくべきポイントについて記事にしてみました。
初心者の方も自分のギターの状態を知るという意味で、是非知っておいて損のない内容となります。
弾きやすいアコギは上達の近道なので必見です。
弦高が高い?初心者も必見【アコギ】ギターの弦高調整知っておくべき4つのポイント
弦高の目安は、アコギの場合6弦12フレットで大体2.5ミリ位であとはお好みです。
アコギの弦高はネック(トラスロッド)だけの調整はNG
アコギの弦高チェック4つのポイント
アコギの弦高は、下記の項目の総合バランスによって高くなったり低くなったりします。
- ネックの反り
- ネックの元起き
- ボディのふくらみ
- サドルの高さ
それでは順番に、それぞれの項目をチェックしてみましょう。
ネックの反り
まずはネックの反りからチェックです。
- ネックの反りとは?
- ネックの反りの確認方法
- ネック(トラスロッド)の調整
ネックの反りとは?
ネックの反りとは、ネックがまっすぐではなく、弦側または、手前側に反っていることを言います。
一般的にトラスロッドによる調整が可能で、範囲は大体1フレットから12フレットか13フレットくらいの間の部分の反りを調整できます。
ギターを抱えた時、ネックの反り状態によって下記のように言います。
- 順反り
- 逆反り
- 真っ直ぐ
順反り
ギターを抱えた時、弦の貼ってある側にゆるくカーブしている状態は順反りといいます。
弦の張力でネックが引っ張られ段々と反ってしまいます。
この場合は弦高が高くなってしまい、コードを押させても、弾きずらくなってしまったり、また、ひどくなると各弦の和音などの音程が狂い、演奏自体がちゃんと出来なくなります。
逆反り
また逆に、ネックの裏側の方(手前側)にカーブしてる場合は逆反りと言います。
よくある原因としては、ほかの部分の原因にもかかわらず、トラスロッドのみで無理やり弦高を下げようとの修正のし過ぎが多く、これは良くありません。
後は保管方法でギターを壁に裏にして長い間立てかけていたりすると逆反りしてしまう場合もあります。
この場合は、弦高は低いですが、特定のフレットで音詰まり、ビビり、など演奏に支障が出ることが多いです。
真っ直ぐ
丁度良い状態で調整不要(ほんの気持ち順反りがいい音だったりする場合もある。個人の好み)
ネックの反りの確認方法
いくつか方法がありますが、今回は下記の方法をご紹介します。
フレットを押さえて確認する。
1フレットと、12フレットか13フレットを押さえて、7フレット上の弦との隙間を確認する。
- はっきりカチカチする場合は順反り気味。
- 弦がフレットにくっついて隙間がない場合は逆反り。
7フレット上で弦を押さえた時、薄い紙一枚分くらいの間隔で理想は0.2ミリくらい。
7フレット上で弦を押さえた時チャッ、チャッという音が出るくらいに調整する。
金属製のスケールを使う
金属製の定規は直線が正確なので、定規を立ててフレットの上を端から端まで滑らせてみる。(この時金属でフレットを傷つけないよう気を付ける)
- スライドの際に定規の端がフレットに強く当たる、または真ん中に隙間ができてる場合は順反り。
- 左右のフレット上に隙間があり、シーソーみたいに動く場合は逆反り。
スライドさせた際に、端がフレットに軽く当たる程度に調整する。
30センチ定規の場合は、真ん中のフレットにほぼ隙間が無いように調整する。
ネック(トラスロッド)の調整
確認が出来たら実際に調整します。
ギターに付属の六角レンチやボックスレンチを使います。
一般的にトラスロッドによる調整範囲は、大体1フレットから12フレットか13フレットくらいの間の部分の調整となります。
ギターの種類により、サウンドホール側とヘッド側のどちらかに調整するためのレンチの差込口があります。
- 順反りの場合は、右に回していくとネックがまっすぐになってきます。
- 逆反りの場合は、左に回していくとネックがまっすぐになってきます。
注意事項
弦高を低くするために締め込み過ぎて、逆ぞりにならないよう気を付けてください。
あくまでも1フレットから12フレットか13フレットくらいの間の部分の調整です。
(Martinなど一部のギターメーカーでは自身でのネック調整は推奨されていませんのでレンチも付属されていない場合もあります。
が大抵のギターにはレンチと取扱説明書にネック調整の仕方が記載されていたりもします。)
ネックの元起き
ネック反りがOKであれば、次は元起きのチェックです。
- ネックの元起きとは
- 対処方法
ネックの元起きとは?
ネックのボディの接合部分からの曲がりで、弦の張力によってネックのジョイント部分から起き上がってしまいます。
ネックの1フレットから、12フレットか13フレットくらいの間の部分がまっすぐでも、付け根である14フレットから急に反っている状態であれば、弦高は高くなってしまいます。
対処方法は?
自身での調整方法は基本的にありません。ここはプロの修理の領域となります。
状態がひどい場合はリペアショップで熱加工による矯正か、一度ネックを外してネックのリセットの方法があります。
軽度の状態であれば、弦高を下げる対処法としてサドルを低くして帳尻をお合わせるという方法もあります。
どのギターにも少しくらいは元起きの症状はあるので、気にならない程度であれば大丈夫です。
ボディのふくらみ
案外見落としがちで、実は弦高にも影響するアコギ独自の症状に、ボディのふくらみがあります。
- ボディのふくらみとは?
- 対処方法
ボディのふくらみとは?
ボディのトップ板に、ブリッジが圧着されておりここに弦が張られます。
当然、弦の張力がここにかかりますが、アコギの板は薄く、裏に力木が張ってあるものの、長い間弦に引っ張られると、その部分がだんだん引っ張られて膨らんできてしまいます。
また湿気による原因もあり、梅雨時期などはボディの板が水分をたくさん含んでしまう、と膨らんでしまいます。
これが原因で、弦高が高くなってしまう要因になります。
対処方法
弦の張力が原因で膨らんでしまった場合、修正する場合はここでもリペアショップの出番となります。
特殊な道具を使い一定の時間をかけて矯正し、ある程度トップ板を平らにすることができます。
弦高を下げる対処法とすればサドルの高さを低くして帳尻を合わせるという方法になります。
湿気によるふくらみの場合は、乾燥剤を入れたギターケースにしまうと一週間ぐらいすると治ってることもあります。
使用環境の湿度管理をすれば防げるかもしれません。
サドルの高さ
最後に確認するのはサドルの高さです。
ここは自身でも調整できる箇所であり、ネックの元起き、やトップ板のふくらみの帳合をとれる場所で、最終的な弦高調整の部位であります。
サドルを削る
ネックが調整済みの場合、後はここで弦高調整します。
12フレット上で、0.5ミリ低くしたい場合は1ミリ、1ミリ低くしたい場合は2ミリ削ります。
ただし、削りすぎるとテンションがなくなりますので、ある程度は高さを残しておかなければなりません。
もし、ブリッジから出ている部分を、ほとんど削らなければならいということは、そのギターはもう限界で、ネックの元起きやボディのふくらみがひどく大掛かりなリペアが必要ということです。
中古ギターであれば、たまに見かけるのは更にブリッジまで削り込んで低くして、何とか帳尻を合わせているというギターも見かけますがこれは基本NGです。
まとめ
今回は、弦高調整はネックの調整だけではなく、アコギの弦高は下記の項目の総合バランスによって調整が必要となる、ということについてまとめてみました。
- ネックの反り
- ネックの元起き
- ボディのふくらみ
- サドルの高さ
アコギのメンテナンスのお役に立てればと思います。
それではまた
タカタカでした。